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最近読んだ時代小説

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涙堂―宇江佐真理
北町奉行所臨時廻り同心、高岡靫負(たかおかゆきえ)の妻、琴を中心とした物語。
琴は芯は強いが少しおっとりとした武家の後家さんだ。
子供は五人。長男は父の役目を継ぎ、三人の娘もそれぞれ町方役人に嫁いでいる。
琴は五人いるうちのハズレの次男、末っ子の賀太郎の家に厄介となる。
賀太郎は武士の家に生まれながら、歌川派の絵師として
国賀という雅号もある売れっ子。
父の靫負の死に不審を抱いていた高岡家は娘達の婿たちと共々、
真相を探りだす。
全編をつく父を死に追いやった真相探しが一本のストーリーとなり、
連作として一話一話のイベントがある。
武家の後家、琴が市井の仕舞屋に住み、町人とのやり取りが楽しい。
物語としてはありがちだが、ディティールもしっかりしていて、
安心して読めた。

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どぶどろ―半村良
足が曲がっているので、この字の親分と呼ばれる平吉が主人公。
短編風の作品が続き最後の「どぶどろ」で物語が集約されてくる。
各短編群は市井の登場人物の心の奥襞まで入り込むように筆が進んでいる。
特に挿入部の一話め「いもむし」は、気の弱い商家の手代が
掛取りの金に手をつけてしまう。
かっぱらったくせに、「どうしよう、どうしよう」だ。
途中、落ちぶれた幼馴染とばったり。お互いの心理描写が見事だ。
また、全編に流れる会話の歯切れの良さは群を抜いている。
さすがは小説の名手、半村良である。
大江戸ミステリーと謳っているが、謎解きの匂いはあまり感じられず、
哀愁ある人情話しに主体が置かれたことも、読みやすい。
そうそうあるものではないが、何度でも読み返したくなる珠玉の作品だ。

20060617123412.jpg
あかね傘―和久田正明
火賊捕盗加役(ひぞくほとうかやく)の新免又七郎の痛快時代劇。
主人公がちょっとややこしい出目で面食らったが、
正統派の筆の運びで読みやすかった。
物語の始めで、「火附盗賊改め方」なる名称は、
長谷川平蔵の時代ではないよ……と暗に唱えるところに
作者のこだわりと意気込みが感じられて好ましい。
私も常々思っているが、テレビの時代劇は間違いが多すぎる。
公共の電波で間違いを堂々と公表していいのか、疑問である。
……もちろん楽しく観るときもあるが(笑)。
さて、この物語の面白いところは、主人公の又七郎がガチガチの捕り方の武家で、
血を分けた兄が市井のチンピラである。
まだ若く頭角を現そうとする又七郎をいろいろな形で兄がサポートする。
又七郎の育ての父の清左衛門、御用聞きの蟹蔵、同心の斧蔵、金吾、艶のあるお銀といずれも
クセのある脇役で固めてあるのも、
物語に幅をもたせ、安定感が感じられた。
兄の名は次郎吉……そう、あまりにも有名な
義賊「鼠小僧の次郎吉」になっていくようだ。
……ある意味、楽しみ。

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春の嵐―藍川慶次郎
物語の冒頭は、硬派の小説の感がしたが、読み進むうちに笑みが浮かんでくる。
筒井右馬之介は南町奉行、筒井政憲の養子である。
本当の父、宗兵衛は奉行の兄である。
しかも奉行と宗兵衛は双子の兄弟。……これだけで笑える。
また、お誂えむきに、弟の町奉行は清廉潔白な正義の味方で、
兄は「そぞろ宗兵衛」などと言われ、町屋の顔役のようになっている。
最後は兄が奉行の格好をして悪の巣窟へ乗り込む場面もあった。
ちょっと間違うと駄作になり兼ねない微妙な登場人物の構成だが、
宗兵衛が実に爽快。行動、言動ともに魅力を感じた。
湯屋の二階の場面や両国橋での冷水売りの掛け声、亀戸天満宮の境内の様子など、
江戸情緒が満喫できるのも作品を助けている。
あまりにも有名な悪僧の御数寄屋坊主、河内山宗俊が水戸藩を強請ったという
実際に起きた事件が絡んでの奇想天外なストーリー展開は新鮮さを感じた。
ただ、御三家と呼ばれた水戸藩に無頼あがりのような大久保今介が
藩の台所を預かるというのは本当なのだろうか。
疑問が残るところだ。
ちなみに、大久保今介は実在の人物で鰻丼を始めて作った人だ。
大変な金持ちで鰻マニア。

20060617123436.jpg
夕焼けの甍―鈴木栄治
口入屋用心棒の第四弾。鈴木栄治は好きな作者なので、すんなりと溶け込むように読める。
主人公、湯瀬直之進と、彼の故郷である静岡沼里との関わりが分かってきた。
南の同心富士太郎と中間の珠吉。口入屋米田屋の主、光右衛門と双子の可愛い娘、
悪友の平川琢ノ介等、おなじみの登場人物のユーモアあるやり取りが楽しい。
鈴木栄治は登場する悪者を魅力的に描く名手でもある。
殺し屋、倉田佐之介のニヒルでダンディで、
ちょっと精神的に弱い役どころが人間臭くて好感がもてる。
また、両者(主人公と殺し屋)が刀での戦闘場面が始まると
活字から目を離せなくなる。
刀を交える一瞬の出来事を、まるでスローモーションのように
脳裏に浮かべることができるからだ。
殺し屋、佐之介は第一弾から登場しているが、
今回も直之進に身体をズタズタに切られながらも、
直之進の元妻の長屋に転がり込んで終了している。
命を永らえて、第五弾に登場は必至だ。楽しみだぞ。
もちろん、再読に耐える本だと思った。

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艶女犬草紙―安部牧郎
商人の町、大阪で貸本屋を営む町之介は奥州(東北)三戸藩(?)から武士を捨ててやってきた。
豪商から金銭の授受にまつわる疑いをかけられ、
町之介の父が切腹して果てる。その敵を大阪でとろうというのだ。
豪商は兄弟で経営していて、その片割れが大阪でも羽振りを効かしていたからだ。
まずは儲けなければならない。そこで、貸本業の傍ら「犬の口入屋」を始める。
要は今のブリーダーのような商売だ。
秋田犬、紀州犬、柴犬、狆(ちん)を仲買して金を儲け、豪商を落としいれようとするのが……
江戸時代における大阪の市井の様子は分かりやすく
面白さを感じたが、あとは論外。
作者は官能小説も書いているようだが、不必要な濡れ場が多すぎる。
正統な時代小説の場合、私は男女が睦み合う場面は最低限で事足りると考えている。
そのことで(濡れ場で)ページ数を稼ぐのはいただけない。
また、現代を意識した物事の描写も興ざめだ。
一箇所であるが、「現代でいう○○○である」のような記述が出てきた。
これは、その時代にどっぷりと浸かりたい読者を、急激に現代に引き戻す文言なのでちと辛い。
物語の終盤は、荒唐無稽のオンパレードで、最後まで読むのも苦しかった。
また、主人公町之介の目標である敵討ちが霞んでしまい、尻切れトンボになってしまっている。
消化不良だ。
厳しいかもしれないが作者の、この長さのものを書く力量に疑問が残る。
あとがきも、作者の犬自慢だけで終わっているのもちと残念。
作者も提唱しているように、滅茶苦茶犬が大好きという方には辛うじて読めるだろう。

コメント
たくさん読みましたね
「涙堂」は読みました。
宇江佐さんの作品はあまり外れがないので
安心して読めますね。
「あかね傘」も読みました。
和久田さんの作品も好きです。

半村良さんは読んだことがないのですが、この「どぶどろ」おもしろそうですね。

その他は読んでいませんが、最近私のブログに来られる、
minicatopさんがこの鈴木英治さんと阿部牧郎さんの作品を
買ったと書いておられました。

私も作佐様と同じくぬれ場の多い作品は嫌いなので、
大阪と聞いて気持ちは動きましたが
阿部さんのはやめておきます。(^_^;)
v-254
by: hive * 2006/06/17 15:16 * URL [ 編集] | UP↑
ハイブ殿
ハイブ殿は「いたずら子猫ちゃん」なのですか~?(爆)
……もとい
いままでは、どうも偏ったものばかりの購入なので、当たり外れがあろうと、ランダムに購入するようにしています。半村良氏のこの作品はお勧めです。結構、活字も小さいから濃密感も味わえますよi-236
なかには、本の厚みを出すために、とんでもなく活字のでかいのもありますが……i-237
minicaさんは、物凄いスピードで時代劇を読む方です。そのスジでは有名な方みたいです。いろいろな時代劇を読んでらっしゃいますよ。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&action=m&board=1835011&tid=
baa3fia4sa4ga4kkdca4oa1a9a1a1bjlb
ea4c0a41a4ba1a3&sid=1835011&mid=692

阿部牧朗氏は、お勧めしません。江戸時代初期の湯屋は確かに混浴でした。彼の作品も混浴ということになっています。しかし貸本屋という家業上、本の名や戯作者の名も登場するのですが、「山東京伝」の名が…この時代には湯屋の混浴はすでに無かった筈で……「上方のある場所にはあったで~」と言われればそれまでですが(笑) また、そこで知り合うヒロインの名が「リサ」でしかもカタカナなんです。この二点だけでも興ざめ~。作家さんがよくやる手ですが、知り合いの女性を登場させちゃったとしか思えませんi-237
とにかく、お止めになった方がよろしいです。
by: 作左 * 2006/06/18 17:38 * URL [ 編集] | UP↑

いいえ~。猫ではないですね。
弟がいるので、何でもポンポン言っちゃうし、
佐藤珠緒タイプは苦手です。(^_^)

minicatopさんって、掲示板で活躍(?)されているんですね。
知りませんでした。

半村良さんの作品、絶対に読みますね。
阿部さんのは、やめときます。(^o^)
by: hive * 2006/06/19 10:22 * URL [ 編集] | UP↑
ハイブ殿
確かに時代劇とローリングストーンズがお好きな
「いたずら子猫ちゃん」はいないかもi-237
すみません、あの「プン、プン!」で、
私も見事にでれ~っとなってしまいまする(爆)

私も以前、掲示板に書き込んでいたことがありましたが、
minicaさんのあまりのスピードに目が眩んでしまい、ついていけませんでした~(笑)
by: 作左 * 2006/06/20 18:19 * URL [ 編集] | UP↑

作佐様もあの「プン・プン」にメロメロのタイプなんですか?
じゃあ、奥様も子猫ちゃんタイプなんですね~。

うちは「かわいげない」っていつも夫に言われています。
でも、できないなあ~「ぷんぷん!」って。(^_^;)

子猫じゃない写真を、ファン限定で、
アップしています。(^o^)
by: hive * 2006/06/21 11:14 * URL [ 編集] | UP↑

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