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作左衛門 江戸見聞記 七

だいぶ、暖かくなってきやした。
卯月(うづき)でやす~
四月を卯月というのは、空木(うつぎ)の枝先に白い花が、
降り積もった雪のように咲き乱れ、この花を卯の花といいやす。
で、卯の花の咲く月を卯月といいやす。
(※旧暦では、アバウトで現在の五月下旬から六月上旬)

その卯の花が初夏の香りを漂わせる頃、江戸の空には杜鵑(ほととぎす)が
姿を現し、鳴いて夏の到来を告げやす。
これを初音(はつね)といい、小石川白山のあたりが「初音の里」と呼ばれてやした。

で、そろそろり初鰹(はつがつお)の季節の到来でやす~
「初物を食べると七十五日長生きができる」と言われ
特に初鰹は、江戸庶民に圧倒的な支持を受けてやした。
―目には青葉 山ほととぎす 初鰹
芭蕉とも交友のあった山口素堂(やまぐちそどう)の有名な句でやすな。
本来、俳句は季語を使いやすが一つの句に二つの季語はタブーでやす。
この句はその季語が青葉、ほととぎす、初鰹と三つもへぇってやす~(^^)
あまりにも有名な句なので代表作のように扱われやすが、
実は、あえてタブーを犯した玄人の遊びの句でやす。
季語を三つも入れた、この季節ならではの贅沢感を出そうとしたのでやすな~
ちなみに、語感の良さから「目に青葉」との記述が多くみられますが、
「は」が入り、「目には青葉」となりやす。お間違いのないように~。
当時からこの句は有名で、
―聞いたか と問えば 食ったか と答へる
―目と耳は ただだが 口は銭がいり
という、受けの川柳もありやした(笑)

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-「江戸名所図会」より日本橋
手前が魚河岸でやすな。

江戸の日本橋、小田原町の魚河岸に鰹が荷揚げされるのは、
鎌倉沖や駿河湾沖などからでやす。
木村又介著「天保三年伊豆紀行」では長浜村(沼津市)の鰹漁の様子が書かれてやす。
まず、魚見櫓(うおみやぐら)から見張りをしていた男が鰹の群れを発見して
大声で叫びやす。すると浜辺で待機していた男達はすぐさま船を漕ぎ出して、
網を海に沈め、声を合わせながら網を磯に引き寄せていきやす。
これまた、岸で待機していた男達が褌(ふんどし)一丁、裸になって網にへえり、
鉤(かぎ)で鰹を引っ掛けて引き上げやす。
そしてその場から、待っていた馬や船で江戸に運びやす。
この村はこの季節だけで千両(約1億円)以上稼いだと書かれてやす(凄い!)
江戸には、快速船や馬で運びやす。魚河岸に着くのは明けの六ツ(午前6時頃)で、
即、取引が始まり、棒手振り(ぼてふり)の初鰹売りが高く買ってくれそうな
得意先へと町々に散っていきやす。
冷凍技術なんざなかった時代なので、鮮度がどんどん悪くなりやす。
昼前までには完売が、勝負でやした。
20060415135532.gif
-「守貞慢稿」より 初鰹売り。
早く売らねえと活きが悪くなっちまいやす。


文化九年(1812年)の最初の鰹船は、積荷がわずかに十七本でやした。
そのうち、六本が将軍家、三本を高級料亭八百膳(やおぜん)が一本二両一分(約225000円)
で入手、残り八本が魚屋……そのうちの一本を歌舞伎役者の
中村歌右衛門が三両(約300000円)で買い、大部屋の役者に振舞ったのは
有名な話しでやす~(笑)

食い方はやはり刺身で、醤油に芥子(からし)または芥子味噌でやす。

長屋でも、威勢よく棒手振りが持ってくる鰹を、女房達が群がって
その場でさばいた切り身を買いやした。
それでもこの季節、一分(約25000円)もしやす。
だいたい月収の八分の一ぐれえでやすな~。
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-北斎画「略画早指南」より 
棒手振りの魚屋は、長屋の前でさばいて切り身を売りやした。

初鰹川柳アレコレ
―初鰹 銭と芥子で 二度なみだ
なにも泣きながら食うことはありやせん(^^)

―初鰹 りきんで食って 蚊に食はれ
蚊帳(かや)を質入して鰹を買い、
この夏は蚊に食われてやれ~……と(笑)

―初といふ 字をいさみにて 松男(かつお)~松男~と 走り行く
棒手振りが叫びながら走っていく様でやすな~

―初鰹 人間 わづかなぞと買ひ
人生わずか五十年、思い切って買ってまえ~(笑)

―清水(きよみず)に 思案している 初鰹
―初鰹 まだ舞台から 落ちられぬ
清水の舞台から飛んだつもりで買おうとしてもまだまだ思案顔。
そのうち買いそびれてしまいやす~。

―初鰹 女房に 小一年いわれ
―その値では 袷(あわせ)があたらしく出来る
―意地づくで 女房 鰹をなめもせず
宵越しの銭は持たねえといいながら、
仕事をサボって威勢良く初鰹を買ってきた亭主は
それがもとで家での居心地が悪くなりやす~(笑)

江戸では「女房子供を 質に入れても 初鰹」と言われてやしたが
上方では「あないなもんに 女房 質に置く」と嘲笑してやした~(笑)
関西人に「あないなもん」と言われようと、大枚を投じたのは
ただの江戸っ子の見得と心意気のためだけでやした。

ちなみに旬をはずれた秋の鰹は一本わずか二百文(約5000円)で買えやした。
初鰹の頃がいかに高値かが分かりやす。
秋の鰹は「下り鰹」といい江戸の庶民には人気がイマイチでやした。
あっしは、程よく脂ののった下り鰹がいいでやすがね~(^^)

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