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夜長

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せっかくの秋の夜長にはこんな本がいいかも。

浅田次郎氏著「五郎治殿御始末」
幕末から明治に移行する瞬間の喜怒哀楽と悲喜交々。
時間の経過、呼び名が一瞬で変わり、
暦(こよみ)がカレンダーになり、旧暦がグレゴリオ暦になる。
今でこそなんでもなくカレンダーと24時間の経過で
私達は暮らしているが
江戸時代には、時分秒はない。最短時間の単位が一刻だ。
一刻は約2時間で、30分が四半刻という表現で実にあやふや。
それに戸惑う軍隊の責任者の話しは笑いを誘う。
商家では、師走(12月)が始まったと思ったら、
すぐに大晦日。約ひと月が無くなってしまうのだ。
〆と金の回収に右往左往。それを受ける方はもっと悲惨(笑)
また、敵討ちが法律で禁止されるが、それのみを生きがいに
気負った感情を持ち続け生きてきた者は
どこへそれをぶつければいいのか。
庶民や武家の戸惑いと哀愁が漂う珠玉の短編六作品だ。

乙川優三郎氏著「かずら野」
信濃城下松代の下級武士の娘、菊子の運命と生きざま。
十四歳で大店に売られ、数々の悲惨な壁に立ち向かいながら
しぶとく生きていく。
自分の父親に妻を寝取られた富治は父を殺し、
妾として売られてきた菊子と手を取り合って信濃から出奔する。
しかし、富治は父親の血を引いていて、
どうしようもないダメ人間だった。
菊子はどうにかして明るく生きようとするが
全て富治に阻まれる。
女の性として、子を宿すが身二つにはならなかった。
乙川氏独特の重厚な文体で、淡々と物語は進行する。
文による、感情の襞に潜む人の表現力は秀逸。
一人の菊子という女の生き方がリアルに綴られていく。

こういう本は自らの感情に刺激をちょっぴり与えてくれる。
無音の中で改めて読みたい二作品だ。

さて、自家製の梅干を肴に冷をチビチビやりながら
活字で浮き上がる時代に、思いを馳せるのも
秋の夜長にはいい。

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